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世情とは隔離され、“異端”を生み出し続ける学園。 「―――――なんでオレがこんなトコに・・・。」 「仕方ないじゃないよ、式。橙子さんの頼みなんだから。」 学園都市を訪れた、 静謐なる死の魔眼を持つ少女と少年。 「・・・ん。これで虚数学区に関する情報は全部か、土御門?感謝するよ。」 「良いってことよ。他ならぬ橙子姉ちんの頼みだからにゃー。」 暗躍する、faller825“背中刺す刃” とred456“奇跡を護る者”。 「・・・こいつ、死の線が見えないっ・・・!?」 「コンビニで買ってきた雑誌が帰り道にゴミ捨て場に放置してあったのを目撃して 欝になっていた上条さんはなんかいきなり電波ゼリフを吐く皮ジャン着物女に 出会いました、・・・・・・不幸だ・・・。」 交錯する、“幻想殺し”と“直死の魔眼”。 「神裂火織。聖人たるお前の力、私が貰い受ける。『 』には程遠いが、仕方あるまい」 「私を聖人と知ってなお襲うとは・・・何者ですか、あなたはっ!」 「―――――魔術師、荒耶宗蓮。」 女教皇と、結界の魔術師。 「へぇ・・・レールガンって言うんだ・・・。すごいね、ソレ。」 「え、そ、そんなことないです!あの、えっと・・・ごにょ・・・。」 “探す者”としての力に長けた少年と、災害級の“超電磁砲”少女。 やがて、物語の歯車はかみ合い、運命は加速する。 「ふぅん・・・キミが噂の“禁書目録”だね。ボクに力を貸しておくれ。 あの憎き“痛んだ赤色”を殺すために。」 「コーネリウス=アルバ・・・アグリッパの末裔・・・。」 齢50歳を超える青年魔術師と、10万3000冊の魔道書を抱えた少女。 「彼女に手を出させるわけにはいかない・・・。しかし、ボクのイノケンティウス では稀代の魔術師コーネリウス=アルバには敵わない・・・。だから、キミたちの 力を借りたい。上条当麻、両儀式。」 魔術師、ステイル=マグヌス。 すべてが交錯して動き出す時、あの■■にスルー以外の伝説がーーーっ!? ディープブラッドに引き寄せられて現れた、『ある生き物』。 「我が名はネロ。朽ちず蠢く吸血種の中にあって、混沌と称され恐れられるもの・・・。」 「うふふ・・・かなりピンチ。でもメインキャラで出られるからいいの・・・。」 あ、作品違ったんでやっぱナシで。 「・・・・・・・・(涙」 「ククク・・・式・・・お前はオレのものだ・・・。」 両儀式を追って現れた、「捕食者」の根源を持つ者。 「うぎゃあっ!ぐぼげぇぇぇぇぇぇっ!!」 「はーはっはっはっ!!悪役顔キャラならもう十分オレ様だけで役は足りてんだよ 足りてんデースヨー?根源がどうしたってぇー?お前の根源が「捕食者」だってぇんならオレ様は ――――― 「一方通行」ってぇところかな?ぎゃはははははっ!!!」 リオの出番はここまでです。 とある境界の直死の魔眼(1) 電撃講談社より近日販売ーーーーー!! ごめんなさい、妄想が暴走しました。 っていうか、書いてる途中で思ったが、月姫だと■■最強説が急ふじょ(ry
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編集する。 2021-12-08 18 33 01 (Wed) - 選択肢 投票 この作品はネ申 (62) 良い (686) 割と良い (152) 普通 (14) いまいち (7) とてもいまいち (4) とある魔術の禁書目録とは、鎌池和馬によるライトノベル作品。 あらすじ 本編 超能力の開発を行う学園都市。 この町の高校生上条当麻は、超能力はレベル0だが異能の力なら何でも打ち消してしまう 幻想殺し(イマジンブレーカー)を持っていた。ある日当麻はベランダに引っかかっている シスター「インデックス」を発見する。そこから当麻は、さまざま事件に巻き込まれていく。 とある科学の超電磁砲 ヒロインの一人で常盤台中学に通う御坂美琴と御坂の後輩でジャッチメントの 白井黒子などを中心に事件に巻き込まれていく番外編。 登場人物 とある魔術の禁書目録の登場人物参照。 用語・設定・場面・解説 とある魔術の禁書目録の用語・設定・場面・解説 参照。 ライトノベル 電撃文庫から。帯色は紫。 22巻まで既刊。他にSSが2巻ある。 全巻で1000万部を超えている。 アニメ とある魔術の禁書目録 各話 1話 学園都市 2話 魔女狩りの王(イノケンティウス) 3話 必要悪の教会(ネセサリウス) 4話 完全記憶能力 5話 十二時(リミット) 6話 幻想殺し(イマジンブレイカー) 7話 とある魔術の禁書目録-07話〈〉 8話 とある魔術の禁書目録-08話〈〉 9話 とある魔術の禁書目録-09話〈〉 10話 とある魔術の禁書目録-10話〈〉 11話 とある魔術の禁書目録-11話〈〉 12話 とある魔術の禁書目録-12話〈〉 13話 とある魔術の禁書目録-13話〈〉 14話 とある魔術の禁書目録-14話〈〉 15話 とある魔術の禁書目録-15話〈〉 16話 とある魔術の禁書目録-16話〈〉 17話 とある魔術の禁書目録-17話〈〉 18話 とある魔術の禁書目録-18話〈〉 19話 とある魔術の禁書目録-19話〈〉 20話 とある魔術の禁書目録-20話〈〉 21話 とある魔術の禁書目録-21話〈〉 22話 とある魔術の禁書目録-22話〈〉 23話 とある魔術の禁書目録-23話〈〉 24話 とある魔術の禁書目録-24話〈〉 25話 とある魔術の禁書目録-25話〈〉 26話 とある魔術の禁書目録-26話〈〉 挿入歌 とある科学の超電磁砲 外伝のとある科学の超電磁砲をアニメ化。 挿入歌 各話 話 -話〈〉 とある魔術の禁書目録Ⅱ 挿入歌 各話 話 -話〈〉 コミック 本編、番外ともに漫画化されている。 リンク 内部リンク とある魔術の禁書目録 とある魔術の禁書目録の登場人物 とある魔術の禁書目録の用語・設定・場面・解説 [[]] [[]] 外部リンク とある魔術の禁書目録公式サイト とある魔術の禁書目録 - Wikipedia とある魔術の禁書目録の登場人物 - Wikipedia とある魔術の禁書目録 Index @ウィキ 上へ 感想/討論用 名前 編集する。 2021-12-08 18 33 01 (Wed) - 情報収集 トラックバック一覧 trackback 口コミ一覧 #bf 関連ブログ一覧 #blogsearch #blogsearch2 ニュース パチンコ「業界最高峰オンリーワンスペック」先行サイト公開!スペック詳細はもちろん、各種コンテンツも盛り沢山!! - Business Journal 三和電子,1トリガー1ボタン式のツインスティック用交換レバーを発売。アーケード筐体向けの補修部品も加わる - 4Gamer.net <アズメーカーより、『とある魔術の禁書目録III』アクリルスタンドコレクション 1BOXがAnimo(アニモ)にて新発売>12月5日より予約販売開始! - PR TIMES 『創約 とある』5巻は目を覚ますと隣に金髪美少女が!? 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TOKYO MXほかにて2018年10月より放送開始! - アニメイトタイムズ TVアニメ『とある魔術の禁書目録III』のキービジュアルが公開&放送時期も決定! アクセラレータや浜面仕上の姿も! - アニメイトタイムズ とある魔術の禁書目録:テレビアニメ第3期が10月スタート キービジュアル公開 - MANTANWEB(まんたんウェブ) TVアニメ「とある魔術の禁書目録」第3期、制作決定!その他企画も予定 - エイガドットコム 「とある魔術の禁書目録」3期制作決定! 新プロジェクト始動に原作者「長かった」 - アニメ!アニメ! TVアニメ第3期『とある魔術の禁書目録III』が制作決定! 2018年『とある』プロジェクト始動、公式サイトもオープン - アニメイトタイムズ リンク元 #ref_list 上へ 編集者用 ミニ編集参加(文の提供・虚偽・誤字等) 出典、参考 上へ
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人の旅行物語 まどろっこしく感じてたはずの3日間はあっという間に過ぎていった。まさに光陰矢のごとし。 その原因はもちろん御坂。彼女のことを考えるだけで、体感時間が速くなる。 「やっぱ分かんねえな」 上条はベッドに仰向けにダイブしながら呟く。確かに御坂は他奴らとは違うのだろう。 そこまでは理解できている。だけどそれだけでは何か足りないのだ。何かが… 「ーさん」 うーん 「ーjーさん」 うーん 「ーじょうさん」 うーん 「上条さん!」 「は、はい!ごめんなさい!」 条件反射でつい謝ってしまう。 インデックスが残した負の遺産だ。 「あ、いえ。こちらこそ大声を出してしまってすみません」 「ん?その声は五和か?」 「はい、そうです。おしぼり作戦から進化した五和です!お久しぶりです、上条さん!」 「?ああ。ところで来ているのは五和だけ?」 「はい、すみません。他の人達は忙しいらしく」 「そうか。悪いな、無理を言って…」 上条は知らない。実はこれが二人きりにするための作戦であることを。 実は建宮達がこの会話をこっそり盗聴していることを。 ちなみに当の五和も気づいてはいなかった。 「ところでどうやって行くんだ?」 「はい。これを使います。」 「これってバイク?」 「はい♪上条さんは後ろに座ってください。」 「普通は逆だよな…情けない」 「いえいえ。そんなことありませんよ」 「ううぅ…どんぐらいで着くんだ?」 「えっと…15時間前後といったところでしょうか」 「そうか。頼むぞ、五和」キリッ 「は、ははは、はい////」 1級フラグ建築士の名は伊達じゃない。さすがやでー イタリアとフランスの国境付近ー 「なんか慌ただしいな。なんかあったのか」 「詳しいことは分からないんですけど、なんでもどこからかエッフェル塔の爆破予告が出ているとか…」 そうだった!御坂のことで頭がいっぱいで、完全に忘れていたけどそれが本題だった。 「そういえば上条さんはなぜここに…?」 「ああ、それはだな…」 五和に全てを話した。今の俺にはこれしかできないから… 「つまり上条さんはその御坂さんという方を助けるためにパリに向かっているということですか?」 「まぁ、そうなるな」 「助け出せると良いですね」 俺はただ黙って頷いた。 眼前に広がる巨大なオブジェ。ついにエッフェル塔にたどり着いたのだ。 その巨大な塔の足元にはいくつものパトカーが停まっていて、野次馬なのか、人がうじゃうじゃいた。 当然の光景と言えよう。これだけのことがあってなんの対策も取らない方がおかしいのだ。 それが有効であるかどうかは別として。 「くそっ!どうにかして中に入るとするか。五和、ここまでで良いぞ。ありがとな」 「待ってください!私も行きます。上条さんの役に立ちたいんです!」 「確かに今までは足手まといだったかもしれません。左方のテッラのときも後方のアックアの時も…」 「そんなことはない。五和のおかげでテッラのトリックにも気づくことができた。アックアにボコボコにされた時、治療してくれたのは五和だっただろ」 「上条さん!私はあなたのことが好きなんです!好きな人を守りたいと思うのはいけないことなんですか!?」 好き?五和が?俺を?はっきり言って悪い気はしない。 当然だ。女の子から告白されて喜ばない男子などごく少数だろう。 普通は飛び上がるほど嬉しいはずだ。 はずだが…上条は何も言えなかった。 (なんで俺嬉しくないんだ?) 刹那、御坂の顔が思い浮かばれてきた。 (なんで御坂が?アイツは関係ないだろ…?) と、その時今までの記憶がフラッシュバックしていく。 (てめぇはそいつを守るべき対象としか見てねえのかって聞いてんだ) (美琴センセーが上条君を元気にしてあげよう) (アンタと私は同じ道を進んでいる。その事を忘れんじゃないわよ) (ただし今度は一人じゃない) ・ ・ ・ ・ あぁ…そうか。 なんだ。簡単なことだったんじゃないか。 「五和、悪いな。俺、お前とは付き合えない。」 「好きな人がいるんだ。気づいたのは今なんだけどな」 「謝らないで下さいよ。上条さんは何も悪くないんですから…」 「それと、ありがとうございました!私のことちゃんと振ってくれて。上条さんのこと好きでいさせてくれて」 「私、なんとなく気づいてたんです。上条さんはその方が好きなんだなーって」 「…」 「上条さん、行ってあげてください。彼女のもとへ」 「え?でも五和は…」 「私は平気です。すぐにまたいつもの元気な五和に戻りますから!」 「ごめんな五和…行ってくる!」ダッ 「お幸せにー!」 もう時間がない。五和のためにも絶対間に合ってみせる! 待ってろよ御坂…もう手を伸ばせば届く距離にいるんだ。 だからもう少しだけ我慢してくれ! 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人の旅行物語
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とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅹ-Ⅴ Ⅷ 「…んで…結局」 上条と美琴は宙ぶらりんのまま電(少々一方的な気がしないでもない)撃の応酬をやっていた。もちろん双方ともクタクタである。 「…俺らは、どうすりゃいいわけよ?」 その電撃の応酬の引き金を引いてしまった不幸な少年が言う。 「…しっ…知らないわよっ…」 先の電撃の応酬で、内外ともに疲れがたまってしまった不幸(?)な少女も言う。 「てかぁ!そんなに疲れるんならあんなことやんなきゃよかったじゃねぇかよ!!」 宙ぶらりん状態で超能力者(レベル5)の電撃をどうにかして防ぎきった、通常では考えられないほど不幸な少年が叫ぶ。 「あんたが悪いんでしょっ!?あんなこといいだすからっ!!」 顔を真っ赤にして、異能の力なら全て触れただけで無効化してしまう、というなぞの能力を持つ右手(幻想殺し)相手に悪戦苦闘した少女も叫ぶ。 「いや…疑問に思っただけなんだけど…」 もはや、一介の高校生男子として当然(であるはず)の質問をした、不幸すぎて笑えるほどの少年が言う。 「…ッ!この変態が―――――ッ!!」 自分の彼に対する気持ちを理解したものの、いきなりイメチェンってのもどうなのかな…、とものすごく繊細な悩みを持った一介の中学生女子が髪の毛から軽く人を殺せる程度の電撃を、その彼に向かって放つ。 上条は、先ほどの電撃の応酬で会得した、宇宙船にでも乗らない限り絶対に必要ないであろう宙ぶらりん状態での体の動かし方を実行し、何とかその電撃を無効化する。 「…だからさ…ほんとなんでなの?」 あー、これを言えばやっぱりさっきみたいなことになっちゃうのかなー、と心の中で思いつつ、いやしかしやはり一介の高校生男子として絶対に言わなければならないであろう、と覚悟を決め、数mはなれた所でやはり宙ぶらりん状態でいろいろとスカートがめくれて普通なら大変なことになっていたであろう少女に疑問をぶつける。 「なにゆえあなた様ほどのお嬢様が、スカートの下に無粋すぎる短パンなどはいておられるのでしょうか?」 次の瞬間、予想通り光の速さで電撃が飛んできた。 もちろん、上条には…いや、人間には光の速さなど知覚出来ない。しかし、あらかじめそれが飛んでくると予測できれば、対処は意外に簡単なものである。 結果、すでに右手を突き出していた上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)に、美琴の電撃ははじかれた。 そして、 「うっ、うるさいわよこのどスケベッ!!?」 また電撃を放つ美琴。しかし、やはりそれも軽く上条にいなされる。 「いや…本当に疑問に思うんだよな。そりゃ見られたくはないだろうけど…だけどそこはやはり一介の男子高校生として認めてはいけない点だッ!!」 「だから何言ってんのよッ!?」 美琴はまたもや電撃を放つ。まぁ、もはや説明しなくてもいいであろう現象が起こるが。 ものすごく複雑そうな表情を浮かべる美琴。そりゃそうだろう。自分が意識している相手が、その手の発現をしてくれる、というのは、やはり相手も自分のことを意識しているからだ、と普通なら思うところだろう。しかし、その後に日本特有の文化…ようはオタク的な発言をされるとさすがに引く…いや、引きはしないのだが、ちょっと気になる。と、言うことで美琴がそのような表情を浮かべるのは当然と言えよう。 しかし、そんな細かいことに気づかない上条は、 「せめてスパッツとか…うぎゃぁ!?」 なんと言うか、そんなものすごく平和なことをやっていていいのだろうか?と思える状況である。 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅹ-Ⅵ しかし、そんな平和な時間が長く続かないのは上条も美琴も分かりきっていた。 「…何なんだこいつら…本当にこんなのが『敵』なのか…?」 心底不思議、不機嫌そうな声が後ろからいきなり響いた。 とっさに上条が振り返ろうとする。だが、無重力状態なのでうまくいかない。 上条がモゾモゾしていると、突然無重力状態から開放された。 結果、 「げぅっ!?」 足首を変な方向に捻ってしまった。 美琴のほうは冷静に着地し、無傷である。 「…おい、もう一度聞くが…お前らが『敵』で本当にいいんだな?」 さっきの声と同じ、少しだけ低い声が上条の耳に届く。 目の前を見ると、 「…うわぁ…」 なぜか上条が『嫌なものを見た』という表情になる。 美琴のほうは、さほど表情は変わらない。これくらいなんでもない、と言わんばかりに。 その上条のリアクションを見た男が言う。 「アア?初対面の人間に対してなんだとコラ?」 少しキレそうな顔で上条に言う。 だが、上条はそんな男の話をほとんど無視し、 「くっそ…何だって俺はこんな不幸なんだ…しかもなんかもう、性格さえも正確に分かるような気がするし…」 ぶつぶつ俯きながら言う。そんな自殺行為とも言える行動に、美琴は「ばっかじゃないの!?」と叫びながら上条のもとに駆け寄り、男の方は、 「…ああ、もうどうだっていい。テメェが敵だろうがなんだろうが関係ねぇ」 ボキボキ、と指の関節を鳴らしながらその20代後半のような男が言う。 「死刑決定」 「いや!?なんかいきなり死刑決定とか言われても…って!!早速攻撃に移るのかよっ!?」 上条が自分の前に右手を突き出す。 すると、目の前からかなりの速度と威力を持った『火の玉』が消される。 もう、なんと言うか。 いろんな面から見て、もうこの人ステイルと血がつながってるんじゃね?? 髪は燃えるような赤。背丈は180cmは軽く越えているだろう。服装はいかにもチャラ男です、と言っているような、この学園都市において成人がそれはまずいだろう、と言うようなもの。性格は…見て(聞いて?)のとおり。顔は中の上、と言ったところか。 とりあえず、ステイルの弟です、と言われても文句はまったくないであろう男がいた。 「…はぁー。不幸だ…」 戦闘中にもかかわらず、そんな長ったらしい思考をしていた上条は、思わずため息をついた。もちろんその間、敵からの攻撃はあったのだが、なぜか美琴が防ぐ羽目になった。 「ってちょっとあんたっ!?死ぬ気なの!?」 「いやもう…死亡フラグですはい。思い返せばあいつが一番最初の『敵』なのかなぁ…」 上条は記憶喪失だ。その記憶を失う前に彼は禁書目録、インデックスなる少女を助けた、らしい。そのとき、一番最初に出会った『敵』はステイル、らしい。…いや、もしかしたらインデックスが『敵』だったのかなぁ…いや、俺の『不幸(体質)』が敵なのか…と、長ったらしい思考にふけようとする上条。だがその前に、美琴に背中を蹴り飛ばされた。その背中すれすれを火の玉がかする。 「…殺す」 なんか、上条のせいで異様に殺気立った男が言った。 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅹ-Ⅶ 「ぜってぇーステイルの弟だ…兄は無さそうだけど…」 こんな状況になっても、上条は脱力し、無気力な表情を浮かべてこんな発言をした。 「だから!戦闘開始よ!?緊張しなさいよ!!」 美琴が隣で叫びながら電撃を放つ。 その電撃は、恐ろしいほど早く正確に絶対の威力を持って男に突っ込んでいく。 そして、その電撃は、 「え…?」 美琴が驚きの声を上げる。 男の体は、抵抗を見せずに電撃を受け入れた。 もちろん、そんなことは本当に自殺と変わりない。 当然のように男の体は消し飛ぶ。 だが、 「こんなにあっさりと罠に引っかかるとはな」 さっきよりずいぶん冷静な男の声が、美琴の耳元でささやかれた。 美琴は反射的に退きながら、裏拳を放つ。 男はそれを右手で受け止め、その右手で強引に美琴を引き寄せる。 そして、 「んなっ!?」 美琴が驚きの声を上げる。 それもそのはず。 いきなり、男の体が『発火』したからだ。 その炎は、数瞬のうちに男の体を包み込む。 それを見た上条が、一瞬にして頭のスイッチを切り替える。 だが、もう遅い。 美琴の体も、炎に――――― バッチィィィィッ!!!! 壮絶な音が、美琴の体から轟いた。 その、少し聞きなれた音に、上条はもはや条件反射のように右手を前に掲げる。 右手(幻想殺し)が、何かを打ち消したのが分かった。 それを確認すると同時、上条はあまりの光に閉じた目を開く。 目の前には、少し服が焦げた美琴が立っていた。 「…何なのよ、あれ」 呆然と、美琴がつぶやく。 目の前の男が、いきなり発火したのだ。当たり前だろう。 だが、美琴は『何故そんな事が起きたのか』探ろうとしていた思考を振り切り、『次の相手をどうするか』というものに切り替える。 しかし、『次の相手』は出てこなかった。 代わりに、 「へぇ。とっさに自分の体から俺の炎にも勝る電流を流して、その炎を無理やり消し飛ばした、か。 あんた、かなり戦闘慣れしてるな?」 先程の男の声が聞こえた。 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅹ-Ⅷ とっさに美琴が首をぐるんと回す。 すると、ちょうど美琴の真後ろのあたりに、男が立っていた。 「…そんなに、人の背後をとるのが好き?」 美琴は皮肉な笑みを浮かべながら、じりじりと男と距離をとり、言う。 「人の背後をとるのが好き、か。別にそうでもねぇんだけどな。なんにせよこっちのほうが殺りやすいだろ?」 男があっけらかんとした表情で言う。 そんな男に、上条は殴りかかれないでいた。 人の背後をとる。 これは、ものすごく有効な戦術だ。よほどの戦力差がなければ、ほとんどの場合相手を殺せる。もちろん、『こちら側』の世界の話だが。 だが、逆に言うとそれほど『背後をとる』ということは難しい。それが簡単ならば、誰でも暗殺者になっているだろう。 つまり、 この男がとんでもなく強い、ということを意味していた。 しかも学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)――――滝壺の話によると8人増えたらしいのだが…とりあえずおいといて――――相手にだ。しかも、2回。 そんな面をとっても、やはりその男はステイルに似ていた。あいつなら、これぐらいの戦力は持ち合わせているだろう。しかも、炎系統を操る人間、という点でも酷似している。 そんな相手を上条はにらみながら叫ぶ。 「美琴!!」 「は?」 突然自分の名前を呼ばれ、驚いた声を上げる美琴。 だが、その時にはもう上条は駆け出している。 はったり(フェイク)。 それにまんまと引っかかった男は、美琴をガン見している。 と、そこで、上条の策に気づいたように美琴が思わせぶりな発言をする。 「あ、そういえば…『あれ』使えるじゃない」 と言いながらスカートのポケットを探る美琴。 それはあまりに無防備すぎるゆえ、逆に攻撃しづらい行動だ。しかも、敵は目の前にいるのにそんな余裕な態度をとられれば、誰だってひるむだろう。 上条と男の距離がなくなった。 上条が男の後頭部めがけて思いっきり拳を振り下ろす。 だが、 「引っかかるかよ、アホ」 あっさりと拳をかわされた。 そのまま男は上条のほうに振り返り、蹴りを上条の腹に叩き込む。 「うぐっ!?」 うずくまる上条。 それを見た男は笑みを浮かべ、追撃を放とうとする。 だが、 そのときの上条は、男と同じく笑みを浮かべていた。 男が何かを感じ取ると同時、上条は男の足を『右手』でしっかりと掴む。 おそらく、男が美琴の攻撃をかわしたり、いきなり美琴のそばに出現したりした方法は『蜃気楼』だろう。今までの戦闘で、この男が『発火能力者(パイロキネシスト)』であることは分かりきっている。 しかも『超能力者(レベル5)』ともなれば、それくらい訳ないであろう。 しかし、おそらくそれは上条の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で無効に出来る。だから上条は男の 足を掴んだ。そうすれば、 最初からそれを狙っていた、美琴の電撃が男に直撃するはずだから。 男が上条の奇襲をかわすことを予測した上で、上条ははったり(フェイク)を張った。問題は、美琴がどこまでこれを理解しているか、だった。 しかし、その問題は解決したようである。 美琴の右手の親指には、先程スカートのポケットを探していたときに取り出した、安っぽいメダルゲームに使うコインが乗っていた。 もはや上条にとっては聞きなれた、だが周囲の人間が聞けば気絶してもおかしくないほどの轟音が鳴り響いた。 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅹ-Ⅸ 上条は、うっすらと目を開ける。 自分が掴んでいたはずの男は、もはや存在しなかった。おそらく美琴のレールガンを喰らって体内に考えられないほどの電撃が流れ、跡形もなく消滅したのだろう。上条は幻想殺し(イマジンブレイカー)のおかげで無傷だが。 …無傷? 「美琴、お前どうやった?」 美琴のレールガンは、放った直線状に存在するものはおろか、その直線を円の中点とした直径2m程度の円に含まれる物体さえ吹き飛ばしてしまう。 ならば、上条の体も少しくらい傷ついてなければおかしいのだが、 「ああ、あの男の1,5m程度上のところに撃ったから」 そうか、と上条は納得する。つまり、レールガンの余波だけであの男をかき消した、と言うことらしい。 「しっかし、お前…よくそこまで頭が回ったな」 「当たり前よ。超能力者(レベル5)なんだからね?」 能力が高くなれば高くなるほど、それを使うときに求められる演算能力も高くなる。美琴は学園都市第3位の能力者だ。つまり、学園都市で3番目に頭がいい、ということだろうか? 「…なんか、改めて目の前の女の存在が異常なことに気づいた…」 「んな、ば、化け物みたいな言い方しないでよっ!」 美琴が突っかかってくる。 が、上条はそれを相手しなかった。 いや、 相手『出来なかった』。 「いや、お前ら本当にすげぇな。この男の方がもう少し頭よかったら、俺は死んでたぜ?」 突然、大きな足に背中を踏みつけられた。 その勢いに負け、地べたにうつぶせになる上条。 その足の主は言う。 「お前がおそらく考えたとおり、俺が使っていたのは『蜃気楼』だ。んだがなぁ」 男が、美琴の目の前に炎を出現させて美琴を牽制しながら言う。 「そもそも、お前は『蜃気楼』のメカニズムを知ってんのかあ?」 痛いところを突かれた。 正直、上条はそんなものぜんぜん分からない。せいぜい、『何らかの熱が加わって、見えるはずのないものが見える』程度の知識しかない。 美琴の電撃が放たれた。 しかし、今度は男も炎を放ち、相殺させる。 「蜃気楼ってのはなぁ、密度の高い空気から低い空気へ光が屈折しながら進むことにより起きる現象なんだよ」 これくらいのことなら、上条にも理解できる。少し前まではまったく知らなかったが。 「そして、空気の密度は温度によって変えることが出来る。んでもって俺の『能力(チカラ)』で空気の温度を変えて、テメェらに蜃気楼を見せていた、ってことだ」 つまり、 男の体が能力を発せないところで、蜃気楼には何一つ影響はない、ということ。 唐突に、男の足が上条の背からどけられた。 その隙に、上条が逃げようと立ち上がる。 だが、半分立ち上がったところで、脇腹を思い切り蹴られた。 「げふっ!」 また地面に倒れこむ。 その上条を、男は容赦なく踏みつける。 「お前の能力は、まだ未知数だからな。能力は使わねぇ。しかも、こっちのほうが気分が良いしなぁっ!!」 上条の背中を踏みつける足の強さが上がる。 だんだん踏みつけられている所の感覚がなくなってきた。 それにより上条があまり反応しなくなったのを見て、男は違うところを踏みつけ始める。 「――――――ッ!!!」 美琴が駆け寄ってくる。 だが、その美琴の足が止まる。美琴の足が、アスファルトに埋まっていた。 「安心しろ。お前も後でちゃあんとやってやるからよぉ!!」 男の下品な笑い声が響く。 上条が、痛みを無視して全身の力を振り絞って立ち上がった。 だが、すぐに男に殴り倒される。 「ッ!!」 今にも泣き出しそうな美琴の顔が見えた。 おそらく、彼女の能力を使えばこの状況を脱せられるだろう。しかし、それすら出ないほど彼女の精神は不安定だった。 それは、おそらく次に襲い掛かるであろう自分の身の危険に対して、ではなく、 今まさに上条の体を襲っている、上条自身の痛みに対して、だった。 誰でも良い。 上条は願う。 誰でも良いから、『彼女』を助けてやってほしい、と。 その願いは、 「ふうん?人の『獲物』に手を出して、ただで済むと思ってるのかい?」 届いたのかは、よく分からない。なにせよ、その男はとある少女のためなら誰だってためらいなく殺せる奴だ。上条のことはおろか、美琴のことなど視野にさえ入ってないはずだ。 だが、 確かに、この男はこの状況を覆してくれる。 上条は、強くそう思った。 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) 2章 Ⅱ×Ⅹ Ⅸ ステイル=マグヌスは、驚いていた…というより、呆れ返っていた。 なぜかイギリス清教の必要悪の教会(ネセサリウス)のトップ、ローラ=スチュアートに命じられるまま、神裂火織と一緒に学園都市に来ていた。するといきなり魔術の匂いを感じ、その発生源らしきところに向かう途中に、以前のフィアンマ戦の時に一緒に戦ってくれた少女がインデックスを抱きかかえて必死に逃げるところを目撃した。インデックスに話を聞いてみると、上条たちを潰しになんか凄い能力者が上条たちを襲っているらしい。インデックスは魔術サイドにおいては考えられないほどの力を振るうが、科学サイドにおいてはまったくの無力である。だから逃亡をしていたのであろう。とりあえずインデックスは同性である神裂に任せ、ステイルは少女の誘導に従いその戦闘区域に足を踏み入れた。 その戦場は、予想以上にひどかった。 病院は全壊しており、ところどころ物が不完全燃焼したような匂いが漂っていた。しかも、たびたび連なる轟音やら悲鳴やら。それに巻き込まれているあの少年の不幸さに半ば呆れながら、ステイルは不幸な少年を探す。 少年はすぐに見付かった。炎系の能力者でもいるのか、炎が使われた痕があった。とりあえず、自分と同じ系統の能力者から潰そう、と思いその痕をたどってみたのだが。 そこには、ボロボロになった少年がいた。 話を少し聞いてみると、少年は蜃気楼のメカニズムさえ理解していないのに、蜃気楼を攻略したことを踏まえたうえで戦っているらしかった。 その少年の不幸さに、もはや全霊を尽くしても呆れきれないステイルであった。 だが、呆れ帰っている暇も早々ない。 なぜかそこら辺で固まって、泣きそうな顔をしている少女はどうでもいいのだが、その少年のほうはいただけない。正直、その少年が殺されたところでステイルにはまったく害はない――――どころか、むしろそちらの方が喜ばしいくらいだ。しかし、彼はあの少女に害があることだけは決してしたくない。自分にとってとても喜ばしいことでも、彼女がほんの少し不満があることは絶対しないのだ、彼は。 あの少年が殺されでもすれば、あの少女がどうなってしまうのか。考えたくもない。 さて、そろそろ助けるか――――― Ⅹ 「…ふん、何が終い、だ」 一方通行(アクセラレータ)の叫びに、少し退いた男が言う。 「貴様に何が出来る?いや、その気になれば私くらい瞬殺できるだろうが…そんな事をすれば、あの少女は即死だぞ?」 そう。 状況は、一方通行(アクセラレータ)が圧倒的に不利だった。 だが、 「ああ?だから何だよ?」 一方通行(アクセラレータ)が、冷たい笑みを浮かべながら言う。 そう。 この状況は、一方通行(アクセラレータ)の人質として打ち止め(ラストオーダー)が役に立つまでが彼らにとって有利であった。しかし、いったん打ち止め(ラストオーダー)が人質としての役目をなさなくなれば、この状況は一瞬にして崩壊する。 「…お前は、あの少女を諦めるのか?」 そういいながら、男は少女の方を振り返る。とても無防備な行為だが、もとから一方通行(アクセラレータ)がその気になれば彼はすぐにでも殺されてしまうのだ。これくらい、もはやリスクではない。 話の中央に立っている打ち止め(ラストオーダー)の顔は、予想外にも少し微笑んでいた。 「…何故だ」 思わず、男の口から声が漏れる。 「だって、あの人は決してミサカのことを諦めたわけじゃないから、ってミサカはミサカは真実を告げてみる」 何故微笑んでられる、と男が言う前に打ち止め(ラストオーダー)が言った。 「…なんだと」 理解できない。 つまり、 一方通行(アクセラレータ)は、超能力者(レベル5)3人相手に自分も諦めず、彼女も諦めないで戦おう、というのか。 彼は身震いした。 本当に、『それ』が出来るように思えたからだ、彼には。 恐る恐る振り返る。 そこには、 何の変哲もないはずの、しかし獰猛なほど全てを望んでいる一人の少年が笑みを浮かべていた。
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とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) Ⅳ 「『一方通行(アクセラレータ)』ッ!!!!」 上条は反射的に叫んだ。その叫びは、絶望しかない暗闇でまばゆい光を見つけたような者の声だった。 「…俺はこんなめんどォくさそうなことには関わらねェぞ…」 叫ばれた『一方通行(アクセラレータ)』は、何か集団でいじめられている子どもを見るような目つきで上条を眺める。 「賢明な判断ですわね、学園都市第1さん」 「あんた今ここで手を出すっつんなら、ネットワークぶっ壊すわよ」 「あれ…?あなたは…?」 3人ともども、学園都市第1位の者に掛ける言葉とは思えない言葉を掛ける。まあ、ひとりはその事実を知らないのだが。 「…そうゆうことだ。俺が殺せるぐらいにはとりあえず生き残っとけ」 「なにぃぃぃ!?まだお前俺を諦めていないのかっ!?いやいい加減…」 「…お前」 一方通行が上条をさらにかわいそうな人間を見るような目で見る。 「へ…?」 と、上条が思考するまもなく。 「とうまぁ!とうまは女の子だけじゃ飽き足らなく、この人にもあんなことやこんなことをした上であっさり捨てたって言うのかなぁ!!??」 「は!?あ、いや違いますよインデックスさん!!??あの発言はそういう意味じゃなく、『まだ俺を殺すことを諦めていなかったのか』という意味のものでして!」 「あんたねぇ!!!」 「(…よ、よし…これで美琴お姉様をめぐる最大の強敵(ライバル)が確実に葬られそうですわね…そうなればっっ!!!)」 と、なにやらいろいろと勘違い(していない者も1人居るのだが、有効利用中)されているところで、さらに何人か上条の病室に訪れるものが居た。 「あっれー?何であなたはちゃんと病室に入ろうとしないの?ってミサカはミサカは疑問を投げかけてみる」 「それには子供には分からない深い深い事情があるのです、とミサカはあなたに現実を直視させないような言葉を発します」 「御坂妹ッ!!!お前も何か壮絶な勘違いをしていないか!?」 「いえ、ミサカはミサカたちの上位固体である『打ち止め(ラストオーダー)』に汚い現実を見せないようにしているだけです、とミサカは特に考えることなく答えます」 「!?って、ちょっとあんた――――ッ!!!」 とそこで、美琴が場違いに緊張した声を発する。その美琴の視線の先には。 「…?ミ、サカ…??ま、まさか」 「あんたは何も聞くな!そして何も見るな!!さらに何も問うな!!!絶対めんどくさいことにっ!!」 「お姉様ッ!!!いったい、黒子にどのような隠しごとをっ!?」 と、なにやら場の雰囲気がよくつかめなくなったとき。 「に、逃げてくださいッ!!!」 突然、切羽詰った声が病室内に響いた。 全員の視線が病室の扉に行く。そこには、見覚えのある少女が居た。 滝壺理后。 対フィアンマ戦のときに一緒に戦ってくれた上条たちの仲間である。彼女は特にフィアンマ戦では致命傷は負っていないのだが、前々から使用していた『体昌』というものがいろいろあるらしく、今は絶対安静を保たなければいけないはずなのだが。 「超能力者(レベル5)が、あなたたちを狙いにここを襲撃してきますッ!!!」 やはり切羽詰った声で彼女は言い放った。 「…?」 だが、やはり一同はいまいち状況がつかめない。その一同の薄い反応を見た滝壺は、 「ちょ、超能力者たちがここを襲撃しようとしています…もう、ここの病院にいる一般人の方にも避難を開始してもらっています…」 そこまで言ったところで、滝壺の体がふらっとゆれ、熱中症にかかったように後ろに倒れこむ。 とっさに御坂妹が彼女を抱きかかえる。 「…どういうことだァ?」 一方通行がしらっと言う。 そこに。 「いいからっ!説明してる暇はねぇんだ!!もうお前たち以外の人間は全員避難したから、さっさとお前らも逃げろ!!」 浜面仕上。 それがこの声の主の名前だ。彼もまた同様に、対フィアンマ戦で一緒に戦ってくれた仲間である。 前は『武装無能力者集団(スキルアウト)』のリーダーを務めていた時がある彼が、動揺しまくりの声で言う。 「説明は出来ない!さっさと逃げろ!!!」 「待て」 もう半分パニック状態に陥りつつある浜面に、冷静な声で一方通行が問いかける。 「つまり、俺らを潰すために能力者がここを襲撃する、ってェことでいいんだよなァ?」 「あ、ああ。だけど全員超能力者(レベル5)で、8人も居るって…」 「もうどうせ逃げられねェだろ。しかもこの病院内には他の奴らは居ない。だったら」 一方通行が言葉を切る。 「ここを戦場にしたほうが早くねェかァ?」 とある都市の反乱因子(ハイレベルズ) Ⅴ 「ばっ…」 その言葉にいち早く反応した美琴が言う。 「何言ってんの!?いくらあんたが学園都市最強だからって、『超能力者(レベル5)』8人を相手できるはず無いでしょうが!」 「…の前に、なぜその襲撃の事実が彼女に分かるのか、ということは誰も気に止めませんの…?」 白井が不思議そうな顔で言う。 滝壺理后の能力は、『大能力(レベル4)』の『能力追跡(AIMストーカー)』。一度記録したAIM拡散力場の持ち主をどこにいようとも確認・追跡できる、という能力だ。それ以外にもあるのだが、今重要なのはその能力。 白井黒子以外は対フィアンマ戦に参加(とあるひとりはネットワーク経由で)しているのでそのことが分かっている。 白井にもそれを説明してやればいいだけなのだが。 「時間が無いらしィから説明はなしだ。とりあえず団体で行動する。 俺と打ち止め(ラストオーダー)と滝壺、浜面。上条と『超電磁砲(レールガン)』と妹達(シスターズ)と白井で行動だ。これくらいの戦力があればそうそう死なねェだろ」 そういって、一方通行は立ち上がる。 「反論は?」 誰も何も言わない。 状況はあまりよくつかめていないが、互いがかなりの信頼関係を築き上げている分、そのあたりは固い。 「よし」 上条がベッドから立ち上がる。 「まーた不幸なことがおきるっぽいが…」 もはや慣れました、という表情をつくり、 「全員、死ぬんじゃねぇぞ」 その言葉を聞き、一斉に病室から駆け出した。 「…くそ…」 ある『人間』が、画面のモニターを見て言う。 「…やはり、『幻想守手(イマジンガードナー)』達が関わっているか…」 その画面には、先ほどの上条達のやり取りが映っていた。 『あまりにも、不信感が無いな』 またもや脳内に直接『響く』様な声が『聞こえた』。 『…まさか、私の『計画(プラン)』に気づき…?』 『それは無いだろうな。おそらく、子供たちが妙に不信感を持ち、行動を鈍らせて負傷する、という事態を避けたいだけだろう』 『…』 アレイスターは応えなかった。 『…さすがに、この戦力では持たないな』 『確かにな。しかし、あの『幻想操者(イマジンコントローラー)』が事件に関わっているのだから、すぐに応援は集まるだろう』 『その応援も、微々たる者、ということは十分にありえる』 『心配性だな。何かあれば私が出る』 その言葉で全てが収まる。それほど説得力があるのだ。 もはや、『それ』を造りだしたアレイスターより『それ』が強くなっている今。 『ふふ。しかし、一方通行はやるな。とりあえず戦力を固め、生存率を上がらせることに専念しているようだ』 『…まあ、そこは一番実戦が多いからな…』 1万回以上は戦場に出ているのだからな、とドラゴンが笑いながら『発する』。 『体制を整わせる気か。だが…』 そこで、ドラゴンが言葉を切る。 『そんなに消極的な答えで、奴らは持つかな?』 『…なんとも言えんな。もしかしたら、『超電磁砲(レールガン)』が今『覚醒』するかもしれんし、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が『真』に目覚めるかもしれん』 『はは。たいした戦力だ』 軽い口調で言うドラゴン。 『とりあえずは、大丈夫だろう。『奴ら』にしてもまだ未完成のはずだ』 『…『超能力者(レベル5)』たち、か…』 アレイスターが考え込むように目を閉じる。 『…しかし、垣根聖督はこれだけの戦力で本当にお前を追い詰められる、とでも思っているのか?』 嘲るようにドラゴンが言う。 『こんな矮小な力、イギリス清教のトップでも一人で潰せる』 『…ローラ=スチュアート…』 またため息をつきそうになるアレイスター。 『…まぁ、事の成り行きに任せるとするか…』 アレイスターには珍しく、適当に判断を下した。
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『とある暗部の未元物質』 第3章 光明を掴む者達 Justice_chevalier 1 「(一体何がどォなってんだァ?)」 白髪の少年は一般的なオープンカフェの一角に腰掛けていた。 もちろん彼自身の意思でここにいるわけではない。 その向かい側には頭に花をつけた(一瞬頭髪の一部かと思い目を擦ってしまったが)少女がウェイトレスに何やら注文を頼んでいる。 そもそも何故こんな事になったかと言えば、一方通行が適当にコンビニでコーヒーを買おうとしたところ花をつけた少女と遭遇。 目が合うなり、『もっとおいしいコーヒー飲める所知ってます!』とか何とかで、状況をイマイチ掴み切れていない一方通行を半ば無理矢理連れてきたというわけだ。 いきなり腕を引っ張られ連れまわされた事で一瞬イラッときたが、一方通行自身『おいしいコーヒー』という単語に惹かれた部分も多少なりともあったわけなのだが・・・。 「(だめだ…思い出せねェ。こいつ誰なンだァ?)」 頭の中で適当に考えるが名前はおろか、こんな少女と面識があったという記憶も無かった。(そもそも彼がいちいち他人の顔など記憶するはずがないが) そんなこんなで一人黙考する一方通行などお構いなしに花の少女は一人話し始める。 「いきなりですみません。どうしてもあの時のお礼がしたくて…」 「(あの時…?お礼だァ?)」 「本当だったらすぐにお礼をすべきだったのでしょうけど…あんな状況ですし…あなたもあっという間にいなくなってしまったので…本当に、あの時は助けてくれてありがとうございました!」 花の少女はもの凄い勢いで頭を下げた。 ここで一方通行は考える。こんな少女を助けた記憶は一切ない。というか、ここ最近の『仕事』を考えると人を助けるどころか殺してる方が圧倒的に多いはずだ。 憎まれる事ならあれど、感謝される覚えは一切ない。 本来なら『ンなもン知らねェよ』と答えてさっさとこの場を立ち去るはずなのだが、頭を上げた彼女の顔があまりにも真剣すぎるので思わずその言葉が喉で止まってしまった。 「実はあれからずっとあなたの事を探していたんです。私を襲ったあの能力者は御坂さんと同じくらいの能力者だって私にもわかりましたし、その能力者を退けたあなたならすぐに探せると思ったんですけど、中々見つからなくて…」 花の少女は少し緊張気味なのか妙に肩をすくめて話していたが、ウェイトレスが注文(二十種のスイーツてんこ盛りデリシャスタワーパフェ(高さ23センチ))を持ってくると満面の笑みを浮かべた。 一方通行は自分の手前に置かれたコーヒーを一口飲もうとした瞬間、例のてんこ盛りタワーがコーヒーとは時間差で自分の前に置かれて固まった。 「……ちょっと待て、何でこれが二つもあるンだよ?」 「あ、それ一端覧祭までの限定メニューなんですよ。これで大型甘味パフェ(高さ15センチ)と同じ値段なんですよ!あ、会計は私が持ちますので遠慮なく召し上がってください」 花の少女はお目当てのパフェがきたからなのか、先程までの緊張は完全に吹っ飛んでいる。 「(冗談じゃねェぞ…)」 一方通行は戦慄していた。もちろんパフェの値段の事などではない。 一方通行は甘いものが嫌いなわけではない。辛いものも好きだし、コーヒーはブラック派だが、砂糖入りでも飲めないわけでもない。よって甘いものでもOKの人間である。 だが、目の前のそれは一方通行のキャパの遥か斜め上を行くものだった。見ているだけで何かこう、胃の真ん中あたりから得体の知れない何かがこみ上げてくるような、そんな感覚がした。 もちろん味覚のベクトルを操作し、好みの味に変換して平らげる事もできるのだが、そんな下らない事に能力を使ってはいけないと本能のようなものが語りかけていた。 「(こりゃァ逃げ場はねェってか…)」 ある意味で修羅場を迎え、腹を括ろうとしたその瞬間―― チャーラララ~と、気の抜けたような着信音が鳴り響いた。 「あ、ちょっとごめんなさい」 どうやら花の少女の携帯電話の着信音だったらしく、一方通行に軽く頭を下げながら通話ボタンを押して電話の相手と会話を始めた。 「どうしたんですか?…はい、…はい。いえ、白井さんはこっちにはいませんよ。そちらの寮にもいないとなると…。とりあえず合流します?いつものオープンカフェにいますし、今なら『アレ』も食べられちゃいますよ?」 『本当!?すぐ行くね!!』と、一方通行でも聞こえる程の大声が彼女の携帯電話から響いたと思ったら通話はそこで終了していたらしい。 「どうやらお友達が来るみてェだから俺は退散するぜ」 この場を逃れる千載一遇の好機とみて一方通行はそう言ったが、花の少女は食い下がる。 「いえいえ、気を遣わなくても大丈夫ですよ。あの人は誰だろうと気にする方じゃありませんし!」 そいつはねェだろ、と思いながら一方通行は携帯電話を取り出す。 「どうやら俺もお友達からの呼び出しみてェだ」 開かれたそのディスプレイには『登録3』とだけ表示されているが、一方通行は誰からの呼び出しなのかはわかっていた。 「そうですか…。それは残念です…」 花の少女は視線と肩を落とし残念モード全開でしょげている。 そんな少女の姿をよそに一方通行はコーヒーを一口含むと立ち上がりその場を去ろうとする。 「あのっ…お名前は…?また会えますか…?」 彼女は心なしか不安げに、懇願するように一方通行に問いかける。 問いかけに対し一方通行は花の少女に背を向けたまま、 「俺は『悪党』だ。そんな奴とそう何度も会うもんじゃねェよ」 そう言うと一方通行はオープンカフェを後にした。 『とある暗部の未元物質』2 人気のない公園の奥になぜか設置されていた三人掛けのベンチ。 そこに土御門元春は座っていた。 そんな彼に近づく人影。 「いよう。お楽しみのところ邪魔して悪かったにゃー。埋め合わせはこの土御門さんに任せておけばバッチリだぜい?でも一つだけ…浮気は感心しないにゃー」 「なンだァ?わざわざスクラップになりたくてラブコールしてきたのかァ?だったら綺麗なオブジェに仕上げてやるぜ?」 何も知らない子供が聞いたら身震いするような会話だが、この二人にとってこんな会話に意味などない。 「またクソ下らねェ『仕事』か。面倒臭ェからさっさと終わらすぞ」 一方通行は首をゴキゴキ鳴らしながら、早く立てクソ野郎と言わんばかりに足をトントンと鳴らしている。 「いや、今回はそうじゃない」 土御門は座ったまま顔の前で両手を組みながら一言だけ告げた。 対して、予想外の返答に一方通行の表情が曇る。 「これは完全に俺の独断での依頼だ。だから受けるもよし、断るもよし」 「断る」 「…人の話は最後まで聞け。今の学園都市はかなりヤバイ状態にあるのは知ってるか?」 土御門は一方通行の言葉を無視して話を進める。 「さァな」 「お前は知らなくて無理はないが…学園都市と対立してる集団の中のある人物が学園都市を潰そうとしている」 「はン。結構な事じゃねェか。ついでにそいつに『上』のクソ共を一掃してもらえば万事解決じゃねェか」 一方通行は唇を吊り上げながら笑うが、土御門の表情はフラットなままだ。 「そんな単純な問題じゃない。『潰す』の意味が違う。奴は学園都市の『闇』の存在を全て消し飛ばそうとしているだろう。その意味…まさかわからないわけじゃないだろう?」 「………」 「『打ち止め』だって例外じゃないはずだ。いや、むしろあいつはある意味で学園都市の中枢を担う存在。真っ先に狙われたとしたって不思議じゃない」 「へェ……」 「お前だってまさかそれを黙って見過ごすわけじゃないだろう?」 「…。どうでもイイが、さっき受けるもよし断るもよしだなんて言ってたが、ここまでの話聞く限りじゃ選択の余地なんてねェじゃねェか」 「そうでもない。お前には二つの選択肢がある。『打ち止め』を間接的に守る為に学園都市をかけて戦うか、『打ち止め』を連れ学園都市の外に逃げるか、だ。お前の力なら単独でも問題はないだろう?」 「ハッ、問題大アリだ。『コレ』の手綱は誰が握ってるのか忘れたのか?学園都市を放棄しようとした時点で俺は無能力者以下だろうなァ」 一方通行は首のチョーカーをトントンと叩きながら自虐の言葉を吐く。しかしその顔はどこか楽しそうにも見える。 「契約成立か」 「タヌキが。ハナからこうするつもりだったンだろォが。そのふざけたサングラス毟り取ってやりたい気分だ」 「そいつは困るな。これはお前のチョーカーと一緒でな。このサングラスのお陰で土御門さんのパワーは三割増しになるんだよ」 「三割増しでそんなザマなら同情するぜ。俺だったら頭打ち抜いて死にてェ気分だ」 全くふざけた野郎だ、と半ば呆れた一方通行は松葉杖で土御門を軽く小突いておいた。 「そうとなれば早速行動開始だ。まずは勝手に遊んでるあいつらと合流だ」 『とある暗部の未元物質』3 第十九学区に一台の黒いキャンピングカーが走っていた。 この学区は他の学区に比べると建物が少なく、人も少ない。正午近い時刻で街に活気が出てきてもおかしくないというのに、ここ一帯はそんな雰囲気は一切無かった。 辺りの店のほとんどはシャッターが閉められ、所々点在しているコンビニくらいしか営業している店は見当たらなかった。 そんな街並みを助手席の窓越しに見ながら男はポツリ、とこんな事を言った。 「で、どうだったんだ?特久池君」 「ん…。まぁ…流石はセラフィムと言ったところでしょうかね。もっとも彼は本来の力の1%程度しか出してなかったでしょうけど」 後部座席に座り、途切れ途切れの声で答える特久池はその過程を思い出し、やや唇を噛んだ。 そんな彼の心境を知ってか知らずか、助手席に座った男は素直な疑問を突きつける。 「じゃあ何で特久池君は生きているんだろうな。そんな化け物じみた奴と戦って生き残ってるなんて俺には信じられないんだが」 対して後部座席からはこんな答えが返ってくる。 「そんな事を…っ!私に聞かれましてもね…。ただ無事ってわけじゃないですよ…。指は何本か無くなってますし、左腕も全く動かないですからね。腱でも切られたんでしょうかね」 「ははっ。そんな程度なら大丈夫さ。噂だが、この学園都市にはDNAさえあれば肉体再生ができる技術があるらしいぞ?」 助手席の男は相手の状態をさほど気にかけていないのか、あっけらかんと笑い話に変えてしまう。が、当の負傷している特久池からすればそんな得体の知れないモノに自分の体を託そうとは思えなかった。 「まぁ冗談はさておき…困ったな。特久池君でそれじゃあ我々が束になってかかったところで一蹴されてしまうのがオチだな」 「相性とかそれ以前に出力があまりにも違いすぎましたからね。正直、あれよりも上がいるなんて思うと自分の能力が馬鹿らしく思えますよ」 「それは言わないでくれよ。俺の立場がない」 ハハハッ、と助手席の男は豪快に笑う。それはこの場には相応しくないモノではあったが、特久池はどこか安心したような感覚がした。 キキッ!とブレーキ音が鳴りキャンピングカーは放置された工場に隣接した駐車場に停止した。 「さあ、着いたぞ」 助手席の男は言うなり、ドアを開け放ち外に出る。2mはあるだろうか、その巨体をグーっと伸ばすとブハッ!と息を吐いて身体をほぐした。 そんな光景を見て特久池は一言――。 「やめて下さいよオヤジ臭い。一応二十歳なんですよね?」 「一応とは何だ。俺はれっきとした二十歳であって、まだ煙草も吸った事がないピュアで健全な青年なんだぞ?」 口髭と顎鬚をたっぷり蓄え、ありがちな童話に出てくる木こりのようなナリでそんな事を言われても、信じるのは敬虔なシスターくらいだろう。 特久池はそんな事を思いながら呆れていると巨漢な男が、 「お、取引先のお出ましだ」 と言うと、その視線の先には真っ赤な衣装を着た女が立っていた。その派手な色ばかりに気を取られがちではあるが、その出で立ちはシスターそのものだった。 本当にシスター出てきちゃったよ、と思わず口が動いて(声には出さなかったが)しまった特久池と腰に両手をつけ仁王立ちしている巨漢をそれぞれ一瞥したシスターは何の感情の起伏もなく告げる。 「やはり『標的』は抹消できませんでしたか。せめて『捕縛』くらいは…と思っていましたが。それほどまでに手強い相手だったんですか?」 対し、交戦した特久池は答える。 「手強いなんてレベルじゃないですね。正直、我々の手には負えません。例え、貴女方の『不思議な力』をもってしてもどうか…」 「そうですか…わかりました。そうとわかれば後は私達で何とかしてみましょう。貴殿らはもうこの件には関わらなくても結構です。事態も変わってしまいましたからね」 「事態が変わったってのは何なんだ?」 訝しげに質問したのは巨漢の男。しかし赤のシスターは冷たく即答する。 「貴殿らが知る必要はありません。知ったところで何もできる事はありませんからね」 「そっか、そりゃ残念だ」 簡単にあしらわれたというのに巨漢の男はそれ以上問い詰めようとはせずにあっさりと退く。 「それと私達との一連のやりとりは口外しないよう。お互いの為になりませんからね」 「安心しな。『マジュツシに頼まれました』なんて言ったってここじゃ笑い飛ばされるのがオチさ」 そういう問題では、と赤のシスターが言おうとしたが、巨漢の男は特久池と共にさっさと黒いキャンピングカーに乗り込んでしまう。 キャンピングカーがその場を去り、駐車場には赤のシスターだけがポツンと残された。 「さて、彼らが使えないとなると『彼女』に連絡を取らないといけませんね…」 『とある暗部の未元物質』4 学園都市には無数の研究施設がある。 能力開発はもちろん、軍事設備や普通の生活に使用する家電製品の開発など、多岐に渡る研究開発を行う為の施設だ。 そしてこの第十七学区は、その学園都市の中でも研究施設が比較的多い学区でもある。施設の密集度から言えば第二十三学区を上回るとさえ言われている。 施設の屋根に止まっている鳥よりも研究施設の方が多いとさえ言われているくらいだ。 そしてそれが数多く立ち並ぶ研究施設の中には一般人には知られていない研究をしている施設が紛れている。 垣根帝督はその施設の一つにいた。 「(虚数研ねぇ…。話では虚数学区の出現条件を割り出す為に珍しい能力者を呼んでは色んな実験をしてたらしいが…この様子じゃ頓挫したみたいだな)」 完全に人気のない研究所内に垣根の足音がコツ、コツ、と響く。 するとカツン、カツン、と明らかに垣根のそれとは違う足音が混ざってきた。 垣根は少し警戒心を強めたが、その必要はすぐに無くなった。 「あら、生きてたの?」 声の主は女。華奢な体に似合わず、背中を大胆にさらけ出したドレスを着ていて年齢以上に妖艶さを感じさせる少女。そう、元『スクール』の少女だった。 「おいおい、久しぶりに感動のご対面だって言うのに随分じゃねぇか」 「別に私達そういう関係じゃないでしょ。むしろあなたがいない間、私が『スクール』としての後始末を全部やったのよ。砂皿の奴も生きてたし、それで色々と面倒だったんだから」 「悪ぃ悪ぃ。いや、別に俺だって好きでくたばってたわけじゃないんだけどな」 ドレスの少女は毒づくが垣根は悪びれる様子は全くない。 「あんな自信満々で一方通行に挑んだっていうのに、見事に返り討ちにされたみたいね。今ここにいるって事は…情けでもかけられちゃったのかしら?」 「どうなんだかな。あのクソ野郎にでも聞いてみろよ」 そう、と言うとドレスの少女は再び歩き出した。 「おい、どこ行くんだよ」 「ちょっと探し物をしてるのよ。まぁ、ここには無いみたいだけど」 「探し物?」 「『ドラゴン』について、よ。」 聞き覚えのある単語に垣根は眉を顰める。『ピンセット』で見た『ドラゴン』という単語。 学園都市へ直接交渉権を得る為の足がかりにしようとしたモノ。そしてその正体を垣根は知っている。 ドレスの少女に『ドラゴン』の正体を明かそうかと思った。が、止めた。恐らくこいつが知っても意味が無いだろう、と垣根は思っていた。 「…あなたは何をしているの?」 「ん、あぁ。能力の調整に来たんだよ。多分ここなら機材があるだろうしな。別にここじゃなくてもいいんだが、人がごちゃごちゃいる所は面倒臭い」 「そうだったの。てっきり故郷が恋しくなったのだと思ったわ。何せ虚数研で多大な功績を収めた能力者だったんですものね」 「そんな事もあったなぁ。人が知らねぇ間にコソコソ俺のAIM拡散力場を利用してたらしいな。まぁ頭きたから全員消したけどな」 「でもあなたがいなかったら虚数学区の存在すら解明できなかった。これって凄い事だと思わないの?」 「別にどうも思わねぇよ。虚数学区がどうであろうが俺にはあんま関係ない事だし。何よりアレイスターの野郎のアシストをしてたと思うと胸糞悪い」 垣根はそう答えると背を向けた。これ以上話す事は無いだろう、と。 ドレスの少女はそんな垣根の様子を察したのか、最後に、と前置きしてこう告げた。 「最近、学園都市に変な連中がいるらしいわよ。何でも大小問わず稀少な能力者を襲撃するっていうね。心当たりない?」 垣根は一瞬の間を置いてこう答えた。 「ねぇな」 「そう。まぁあなたなら心配はないでしょう。それじゃお元気で。もっともこの世界にいればいずれ再会するでしょうけど」 そう言い残すとドレスの少女は建物の外へと消えていった。 「さってと…さっさとやる事済ませてまたあいつに話聞かないとな」 独り言のように呟くと垣根は薄暗い建物の中に消えていった。
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虚章 闇の魔王は裏舞台で笑う Skill_And_Magic 学園都市には窓のないビルが複数ある。そのほとんどが農業実験用のビルだが、一つだけ他とは強度もその中身も異なるものが混じっている。 学園都市統括理事長の城だ。その中には数十万ものコードが床を這い、壁際にずらりと並べられた機械や計算機の類に繋がっている。広く、広く、広い部屋の明かりはその機械や計算機の類のモノしか無いので夜空に散りばめられた無数の星に見える。 そして、その中心には。真っ赤な液体で満たされている筒型の水槽があった。 その中には一人の『人間』がさかさまに浮かんでいた。『人間』としか表現することができなく、おそらくは無理に表現しても「なんかしっくりこない」状態に陥ってしまうだろうその『人間』男にも女にも見え、大人にも子供にも見え、聖人にも囚人にも見える容姿をもっていた。 その『人間』の名はアレイスター=クロウリー。 この城の主にして、学園都市統括理事長でもある。 (くくくくく……くく…くくくく……) 彼は笑っていた。その理由(わけ)はただ一つ。――“虚数学区・五行機関(プライマリー=ノーリッジ)”の急成長。 (遂に、遂に、ヒューズ=カザキリの本来の性能を発揮することができる一歩手前まできた。後は、成長が不安定だった幻想殺し(イマジンブレイカー)さえ完成すれば……) 今から、約一ヶ月前にアレイスターは学園都市に一人の魔術師を招いていた。 ロシア成教・殲滅白書(Annihilatus)所属、サーシャ=クロイツェフ。 だがそれ自体が虚数学区・五行機関の急成長を促したわけではない。 勿論、彼女の能力はかなりのものである。殲滅白書のそれぞれのメンバーの能力は大したこと無いのだが、彼女はイギリス製の対人拷問用七つ道具を装備することで必要悪の教会(ネセサリウス)と、ほぼ同様の戦闘力を手に入れているのだ。 だけど、そもそもアレイスターが求めているものは魔術ではないので“それは”関係ない。 では、何が虚数学区・五行機関の成長を促したというのか。 アレイスターの「当初の計画」では幻想殺しを使ってAIM拡散力場の集合体に自我を持たせてヒューズ=カザキリを完成させる予定だった。 しかし、アレイスターは何かイレギュラーが起こる度に計画を切り替えていき、“プラン”短縮を度々していったのだ。 (くくく……「一方通行(アクセラレータ)、最終信号(ラストオーダー)、ヒューズ=カザキリで三位一体とする方法」では、まだまだ“甘い”と思っていたが……) それでは「詰め」が甘くなる、と懸念されていたその方法。 最終信号を使い、世界中にいる量産型能力者・妹達(シスターズ)を利用することで“世界中を舞台とし”、その中心にヒューズ=カザキリを据える。 さらに、一方通行によって学園都市、そして世界中にあるAIM拡散力場を、“ベクトル操作能力”でヒューズ=カザキリに集めてヒューズ=カザキリを強化する。 そして、ヒューズ=カザキリを天使とした、人工的な“界”を創る 結果、世界中のあらゆるオカルトは消滅し、魔術師も死に絶え、魔術施設は倒壊することになる。 そこまでやってまだ“甘い”のだ。 (…… 「音声増幅(ハンディスピーカー)、天使憑き(エンジェルハウリング)、ヒューズ=カザキリで三位一体とする方法」ならば威力を拡大する事が出来、さらに “プラン”を大幅に短縮する事が出来る……こんな良い方法を逃す手は無いだろう……それに、この方法で“プラン”を組み直せば、すぐに第二段階を終わらせ第三段階(さいしゅうだんかい)へとシフトする事が出来る……くくくくく……) だが。一つ「問題点」があるといえば、ある。 (……やはり幻想殺しの成長か。それさえ終わればすぐに第三段階へシフトできるだろうが……) 方向をがらりと変更したアレイスターだったが、どちらの計画でも幻想殺しが最大必須条件であり、ぶっちゃけアレイスターの目下一番の心配なことは幻想殺しの成長が不安定なことにあった。 (…と、そろそろか……) そう彼が思った瞬間、どういう理屈か彼の目の前に大きな四角いディスプレイが現れる。通信用のディスプレイである。 通信先はロシア。 そのディスプレイの中には灰色の髪を後ろに流し儀礼用の法衣を着た精悍な顔立ちの男がいた。 ロシア成教、アレクセイ=クロイツェフ高司祭。 とある学園都市の中学校に在学する少女の義父である。 『で、どうなのだ?万年逆立ち男』 彼らは挨拶をしなかった。それは、敵だから……と、いう訳ではなく単に互いにその必要性を感じないからであった。 「うむ、全く問題ないだろう。あれから一ヶ月、特に何も起ってはいない」 『問題ない?だが、それは……』 疑うような声を発するアレクセイ。 彼は心配だった。いくら、禁書目録の例(ぜんれい)があったとしても、そこは義娘(むすめ)・サーシャ=クロイツェフを溺愛し、ワシリーサには「親馬鹿アレクセイ」と二つ名をつけられ、今やロシア成教の内部や観光客に留まらずイギリス清教やローマ正教の内部でも流行ってしまって、顔で笑っていて心で頭を抱えている義父、アレクセイ。その不安が尽きることはない。 「映像を渡しているだろう?それを見れば危険なことなど一度たりともなかったことが分かるはずだが……」 だが、そこではない。アレクセイが本当に不安に思っているのは…… 『ああ、確かに見せてもらったよ、怪奇・ひきこもり男。だが、私はその映像を見て、一つ貴様に質問したいことが増えたのだが…………』 と、アレクセイの姿がディスプレイの下側に消え、何やらごそごそごそごそと漁り始めた。 そして、しばらくした後、アレクセイは、一つの写真を手に、ディスプレイの中心に戻ってくる。 『……この少年はいったい何者だ?』 静かなその声には普通の人が聞いたらものすごいスピードをだして逃げ帰り出すぐらいの怒気と凄味とむき出しの敵意が含まれていた。 だが、『人間』アレイスターは、“普通の人”ではない。なので、今までと全く変わらない人を馬鹿にしたような――しかし、堂々とした声で返答した。 「詳しくは語らぬよ、アレクセイ。そもそも君と私はそういう間柄ではないし、どうせ私が“嘘をつこうが”もしくは“本当のことを言おうが”君は信じない、否、信じることができないことだろう…………まあ、強いていうなればその少年は、学園都市の無能力者(レベル0)の内の一人だが」 言外に語られるのは「自分で調べろ」ということだろうか。 アレクセイは少し黙る。そして、その重い口を開く。 『ふーむ……まあ、いいだろう、盗撮趣味野郎。だがしかし、覚悟しておくが良い。私は近いうちに学園都市へ義娘の様子をみるため行こうと思っている。そして、もしその時義娘の身に何か起きていれば、私は貴様をただでは済ま』 「君に、一体何が出来るというんだ?」 『魔王』は遮る。アレクセイの言葉を。アレクセイの言葉はまるで届いていなかった。 筒型の水槽とディスプレイの間に険悪なムードが漂う。……しばらくして、沈黙を破ったのはアレイスターだった。 「ではな。私は忙しい。可哀そうな義父(おとこ)の相手などしている暇はない」 と言い、アレクセイの返事も待たずに、ディスプレイを消してしまった。 と、同時に三つのディスプレイが現れる。アレイスターは、 (これでいい。これでアレクセイは学園都市に来ることになるだろう……計画は順調だ……) と、考えながらディスプレイを見る。 一つ目には、とある少女が映っていて、 二つ目には、物凄い量の計算式が踊っていて、そして、 三つ目には、四角いガラスケースと、その中にあるねじくれた銀の杖が映っていた。
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いない。 『あいつ』がいない。 どれだけ街を歩いても。裏通りを探しても。 いつもなら『またかよ』とか。 ふらりと現れて『よー、御坂』なんて声をかけてくるのに。 いつもあの少年はいるのに。 いつもあの少年はいたのに。 いつもあの少年はいてくれたのに。 ―――あの少年がいないのだ。 「……あいつが、いない」 ベッドに身を預けた御坂美琴は力なく呟いた。 全身に疲労が重く圧し掛かり、それでも他人には悟られぬよう虚勢を張り続けた。 美琴は数ヶ月前に起きた、真夏の悪夢のときのように奔走した。 能力を使える限り使った。体が動く限り動かし続けた。 あの少年の携帯にメールを送っても、何の返信もない。通話にも出ない。 少年の寮の電話番号を調べ上げて電話をかけたり、部屋に向かい隣室や管理人にも行方を尋ねた。 街中を歩いた。一つ一つの学区の様々な場所を回り、聞き込みをして、監視カメラの記録を片端から 調べ上げた。 そんな美琴を見て、ルームメイトの白井黒子は風紀委員(ジャッジメント)の権限を用いた調査を 提案したが、美琴は首を縦には振らなかった。 少年がとある日を堺に出国した後、帰国した記録や目撃証言も一つもなかったし、美琴自身これ以上 の調査に意味はないとほぼ断定していたのだ。 学園都市の外部となれば能力を用いても手は届かないし、世界のどの国を調べればよいのか皆目見当も つかなかった。 それでも調査を断念するのに時間が掛かったのは、気持ちの問題だろう。 そして、美琴は普段通りの生活に戻った。 たまに、ふと振り返る。 美琴の最近の癖だった。何気なく、後ろを振り向く。 振り返って、人の姿が無いことを確認すると何事も無かったかのように向き直る。 人気のない公園で、美琴は自販機を前にぼんやりしていた。 ここで、あの少年と決して長くはない会話をして、どれだけの時間が流れただろうか。秋が、少しずつ 終わりに近づいている。 今年の六月からちょくちょく顔を合わせていたあの少年とのやり取りが、自分にとって一つの日常だった のだと美琴は近頃になって、ようやく気づいた。 美琴はぽつりと呟いた。 「……何でよ」 唇がわずかに震えている。 「何で、今頃になって……」 俯くと、雫が零れ落ちて地面を濡らした。 袖で拭うと、自販機に硬貨を入れた。 『ありゃ?……なんか素直だな。あの御坂が自販機に硬貨を―――』 美琴は、はっとして振り返った。 いるはずのない、少年の声を、幻を見たような気がして――― 「早く、帰ってきなさいよ……!あのバカあああ―――ッ!!」 自販機に思い切り、久しぶりに回し蹴りを入れた。 end
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雲一つない快晴の空、上条当麻は指定された場所に到着すると、驚きで開いた口が塞がらなかった。 「す、すげぇ……」 用意周到の撮影セット、スタッフ、見る物全てが上条には新鮮だった。 「お、君が上条君か?」 呆然と立ち尽くしていると、監督とおぼしき人物が声を掛けてきた。 「あ、はい。そうです」 「話は聞いているな?」 「えぇ、勿論です」 「それなら、まずはアクションの仕方を学んでもらう」 そう告げると、監督は作業中のスタッフを呼び寄せる。 「なんでしょう監督」 「コイツに動きを教えてやれ」 「わかりました」 監督に指示されたスタッフが上条に近寄る。 「アクション監督の山下だ。君、名前は?」 「上条です。上条当麻」 「上条君、君は格闘技とかやったことは?」 「あんま無いです…つか、路地裏での喧嘩程度なんで」 あはは、と上条は笑いながら経験を語る。 「ふむ…見たところ、それなりに筋肉は付いてるようだね」 山下は上条の肉体を見回し、感想を述べる。 「感想ー!」 「どうした」 上条の肉体を観察し終えると、山下は監督を呼んだ。 「身体的にはバッチリですが、アクションの方はまだ未熟な面がありますね」 「そうか…なら、指導を頼む」 「わかりました。上条君、今日はこの後の予\定は?」 監督と話を済ませ、山下は上条に尋ねる。 「一応は暇ですけど…何か?」 「うん、ちょっと演技指導をね」 「演技って、アクションのすか?」 「そうだね。君の役は格闘主体の戦い方だから」 「格闘主体って……まさか俺が変身した後も俺が演じるんですか!?」 「あれ?聞いてなかった?」 「てっきり変身したらスーツアクターの人が頑張ってくれるのかと、」 山下から話を聞き、上条は驚愕する。ちゃんと説明しなかった土御門を恨みつつも。 「学園都市の特撮モノは『外』とは違うからね」 ははは、と笑いながら山下は上条に動き方の説明を始めた。 陽も落ち、すっかり闇が支配する学園都市をくたくたになった上条は歩いていて、とある学生寮に帰ってきた。 「ただいまー…インデックス」 あの後、拳や蹴りの出し方や走り方の指導を散々山下から教わった上条。 「こんなんでやって行けるのかな…」 いつもより疲労感UPで部屋に行くと、インデックスの姿が無かった。 「…………、」 自分の帰りが遅かったため、恐らく小萌先生の所に行ったのだろう。そう考えていると、書き置きがあった。 『とうまの帰りが遅いからこもえの家に行ってくるね。インデックスより』 飼い猫のスフィンクスの姿も見えない為、今は上条一人が部屋に居る。 「さっさと風呂入って飯食って寝るとしますか。…いや、貰った台本読んで台詞覚えねーとな」 ぶつくさ言いながら上条は作業を始める。 過酷な日々が始まることをその身に感じて。
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【初出】 禁書SS自作スレ>>653-656 とあるお嬢様寮の休日 ―――常盤台中学――― 『学園都市』の中にある“学舎の園”、そこにある五本の指に入る名門の女子学園であり、その入学条件の厳しさと世界有数のお嬢様学校でもあることから、学園都市にいる多くの人間からの注目を集めてもいる。 その常盤台中学に通う生徒たちが寝起きをしている女子寮では、生徒たちが思い思いの仕方で休日を過ごしていた。 その生徒の一人が今、裏庭に一人佇んでいる。 彼女の名は御坂美琴。学園都市の中でも七人しかおらず、常盤台中学でも二人しかいない超能力者の一人である。 その、学園都市にいる二三〇万人の中の第三位にして、大抵の障害ならば軽々と解決してしまう力を持った彼女は今、目の前の光景にただ呆然としているのだった。 「どうして…」 彼女には自信があった。 今回こそはきっとうまくいくはず、そう信じていたのだ。 美琴の手には小さな缶が握られている。今日この日のために特別に準備したものだ。 裏庭にたむろしている猫たちにご飯をあげるという日課を持つ彼女はしかし、その体から発せられる微弱な電波のせいで、いつもいつも一匹残らず猫に逃げられていた。 そんな現状に対処するために用意したこのネコ缶、一部の猫愛好家たちの間で、「もはやこれは猫の餌にあらず、ネコ様のご飯である。」とまで言わしめているものであった。 実際缶を開けた瞬間、普段から一流の食事を食べている美琴でさえ漂ってきたその香りに思わずくらっときたし、裏庭に面する窓から匂いを流してやると、のんびりと日向ぼっこをしていた猫たちが落ちつかなげに匂いの元に集まってきていたのだった。 『これだけ集まってきていれば、一匹くらいは残ってくれるでしょ。』 そう思い、期待を込めて裏庭に出た美琴はしかし、彼女が外に出た瞬間に四方へと散っていく猫の尻尾を目にしたのである。 「これでもだめなんて……」 寮の裏庭にてネコ缶を片手に佇む美琴。 しばらくして両肩を落とし、盛大にため息をつくと、持っていたネコ缶の中身を手近な地面の上に落ちていた皿の上に開けていく。 ――ちなみに、お嬢様学校である常盤台中学では、寮の管理は徹底されているために、裏庭といえども皿が落ちているという事は本来ありえないのだが、彼女が行っている日課は割と寮の中では知られているために、あえてそのまま置きっぱなしになっているのである。 (もちろん、美琴自身は自分の行動が知られているとは思いもよらないのであるが。) やがて美琴は缶の中身をすべて皿に移し終えると、しゃがんでいた体を軽く伸ばしながら、猫たちが逃げていったと思しき方向を眺めていた。 だが、自分がここにこうして立っている限り、たとえ猫たちが餌を食べたいと思っても帰ってくることはありえないと結論する。 もちろん、猫好きの美琴としてはおいしそうに餌を食べる猫を間近かで眺めながらその背を撫でてやりたい。 しかし、同じ猫好きであるがゆえに、おいしそうな餌を目の前に置きながら猫に食べさせない、という状況を続けたくもないのである。 最後に数秒、猫たちの多くが逃げていった方向を名残惜しげに見ていたが、空になったネコ缶を片手に寮の中に戻ろうときびすを返した。 そのとき、彼女の背後で小さな音がした。 ――もしや猫たちの誰かが戻ってきてくれたのか?!―― 期待に輝く彼女の目に飛び込んできたのは、 後輩の白井黒子であった。 「…えっと、その、お姉さまからそのような眩いばかりの笑顔を向けられるのは大変うれしいのですけれど…。 それほどまでに期待をさせて申し訳ありませんが、猫たちは戻ってきてはおりませんわよ…。」 心底申し訳なさそうな黒子の声に慌てて我に返った美琴は動揺を隠そうとしていたが、顔は真っ赤だし手に持ったネコ缶は落ちつかなげに動いているわで、まったく動揺を隠しきれていなかった。 もちろんそんな様子を見逃すはずもなく、黒子は追撃の手を緩めない。 「それにしてもお姉さまは相変わらず健気ですわね。毎回逃げられてしまうというのに猫たちと近づこうとされるなんて。 いいえ、たとえ何度振り払われたとしても何度でも手を差し出すのはむしろ猫たちへの献身的な愛と言っても過言ではありませんわね。」 「…っ、そ、そんなんじゃないわよ!」 慌てて否定するが、その顔は先ほどよりも赤くなっているために誤魔化すなど無理である。 「またまたぁ、そんなことはせめて手に持ったネコ缶を隠すなどしてからおっしゃってくださいましな。 餌を食べるのに夢中になった猫が缶の切り口で口を切らないように缶ごと出すのではなく、ちゃんと皿に出してやるという気配りまでされるお姉さまの猫への愛はちゃんとこの黒子には分かっておりますのよ?」 「ぁ……」 そこまで見抜かれていたと知り、もはや言葉も出ない美琴。 俯いたまま固まってしまった彼女を眺め、黒子は満足げなため息を吐く。 『ああ、何ていじらしいんでしょうお姉さま。このままのお姿も見ていたいですが、最近は何かとごたごたが続いてお姉さまエナジーが不足していましたから、ここで大量に補充させていただきますわ!』 さらなる反応を引き出すべく、次なるの言葉を述べていく。 「それにしても、ここまでしてくださるお姉さまに対して、少しは本能による行動を押さえようとはしないものなのでしょうかあの猫たちは? ああもう、いっそのことこのわたくしをネコとして可愛がって下さいませんか? 愛しの猫たちに逃げられて傷心のお姉さまを心を込めてお慰めいたしますわよ?」 ビクッ、と思わず肩が震える美琴。 彼女の反応パターンを知り尽くしている黒子は、美琴から帰ってくるであろう言葉を予測し、さらに、それに続けるべき自分の言葉も用意していた。 「……」 だが、予想に反し、美琴からは何の反応もない。 「……? ……あの、お姉さま?」 訝しんだ黒子は声をかけながら近づいていく。 と、そのときである。 「そうね…。」 ゆらりとした動作で美琴が動く。 そんな彼女にどこか違和感を覚えた黒子が足を止めると、美琴はやけにゆっくりした足取りで近づいてくる。 「それも、いいかもしれないわね…。」 「え……?」 美琴の口から出た言葉に思わず思考を放棄してしまう黒子。 追いつめて反応を楽しむはずだった黒子のほうが逆に無防備な姿をさらけ出していた。 固まったままの黒子の前にまで来ると、おもむろにそのおとがいに手を当てながら美琴は言う。 「どうしたの? わたしを慰めてくれるんでしょう? そんな風にボーっとしてちゃだめじゃない…。」 クスクスと笑いながらその手に力を入れ、黒子の顔を上に向かせその目をじっと覗き込んだ。 「…っあ、あの、あの、お、お姉様!?」 もはや思考が現状に追いついていない黒子に対し、美琴はさらに追い込みをかける。 おもむろに顔をおろし、黒子との距離を近づけていく。 『お…お姉様が、お姉様が、……そんな、そんなっ!?』 徐々に近づいてくる美琴の潤んだ瞳。 そこに映り込む目を見開いたままの自分の顔が大きくなっていくにつれ、意識は空白に染められていく。 もはや互いの鼻は触れ合う寸前、互いの吐息が唇に当たるほどになるころには黒子の意識は真っ白になって―――――― もはや互いの鼻は触れ合う寸前、互いの吐息が唇に当たるほどになって―――――― 「……っく。」 黒子との距離がほとんどゼロにまで近づいたいたままその視線で縫いとめていた美琴は小さく声を漏らす。 愁いを帯びて潤んだままだった瞳には喜色が浮かび、その体は徐々に震え始める。 「……っぷ。っは、あっははははは!」 やがて、我慢しきれなくなった美琴は声を大にして笑い出す。 「あはっっ、あっはっはははははははは、くふっっ、ぷっ、あはっ、あはははははははははははははっっ!」 裏庭に笑い声が響く。 体をくの字に曲げ、大きな声を上げて笑う美琴。 それほど可笑しかったのか、目尻に涙が浮かんでも、まだ笑い続けている。 「っく、はあっ、はっ、はあ……。」 ひとしきり笑い続けた美琴はようやく声を落ち着けると黒子に向き直ると、時折肩を震わせながらも話し出す。 「どうよ黒子! いつもいつもあんたにはやられっ放しだったけど、あたしだってやろうと思えばこれくらいできるんだからね! これに懲りたらこれからはあんな真似はやめるように、いいわね!」 常日頃いたずらを仕掛けてくる後輩に一本返したことに気をよくしているのか、その顔をやや上気させて話しつづける。 「しっかし、あんたの顔ったら、見ものだったわよ! っっぷふっ!」 先ほどの黒子の様子を思い浮かべているのか、満面の笑みを浮かべながら語り続ける美琴であったが、ふと黒子の様子に目を留める。 「……あーー……」 その黒子といえば、先ほど与えられたダメージから抜け出せずにいるのか、いまだに呆けたままである。 こちらからの声も聞こえていない様子であり、もしかすると先ほどの美琴の言葉も届いていないのかもしれない。 「おーい、黒子ー?」 目の前で手を振っても気が付かないようであり、どうしたものかとしばらく思案していたが、 「ま、いいでしょ。たまにはいい薬よね。」 と、早々に結論を出した美琴。 意気揚々と女子寮の中に入っていく。 美琴の姿が消えた後に残ったのは、苦手な磁気が消えて心置きなく「ネコ様のご飯」にありつく猫たちと、足元にじゃれ付かれながらもいまだに意識が戻ってこない黒子の姿があるのであった。 了 蛇足 黒子に対して一本返したことによって気をよくした美琴であったが、やがて意識が戻った黒子から怒涛の攻勢を受けるのはまた別の話である。 「っちょっ、あ、あんた、なにしてんのよ!あたしの話聞いてなかったわけ!?」 「何をおっしゃっているのですかお姉様!? さぁ! このわたくしがお姉様のお寂しい心を隅々までお慰めして差し上げますわ!」 こうして常盤台中学寮における御坂美琴の逸話はまたひとつ増えていくのであった。 今度こそ本当に 了